2018-02-09から1日間の記事一覧
書こうとするとき、書く主体は何者でもない。しかし現実に言葉になっている。古い儀式に似ている。儀式の流れに依存しながら儀式は段々その興奮の渦の中に包まれつつ本来の儀式になる。何でもないものが何か意図をもち書こうとするのではない。だからはじめ…
死人が、わしだって自分の墓を掘るだけの力はあると言って冷たい大地に穴を掘り始めた。「勝手にするがいい。俺は構わないから」死人のくせに生意気だ。この仕事が終わったら、最後に蓋を閉めてくれと要求するのだから。彼の憂鬱な顔を見ると「分かったよ」…
「何してるんだよ」「見ればわかるじゃないか」「昇っているのさ」「エスカレーターの上だぞ」「わかっているよ」「なら、そのまま止まっているがいい」「いや、これが運命なんだよ」「なら 、好きにするがいい。気のすむまで昇ればいいさ。もしかしたら天に…
耳で喋って、口で聴くと云い張るのだからしょうがない。耳がふたつあることをいいことにバイリンガルみたいに喋る。まるで難解なフーガのようだ。が、聴くことに関しては若干苦手のご様子。女なんだ…ふたつの主役に任せて、私は立ち去る。
そのレコードプレイヤーは一風、変わっていた。スピーカーはどこから見ても人間の耳にしか見えない。それが小さくつぶやくようにして、見方によっては、多少いらいらしながらレコードを回している。「何だ?音をださないレコードプレイヤーなんて」とこちら…
射精しないロケット競争…いま
いま何しているって、時計と競争しているっていうしかないだろう?
死が駆け足で近づくので、仕方なしに時間を濃密にせざるを得なかった…
墓の方向にむかって歩く。