大いなる謎

言葉ほど不思議なものはない。言葉と身体は接触している。境界線は見出せない。吸収するというよりは、既に身体に内包されている言葉!

言葉以外の言葉は無数にあるが、その一つに立ち居振る舞いがある。仕草は言葉に匹敵する。言葉に駆られて希望を捕まえることもできれば、言葉によって殺されることもある。殺伐とした言葉の世界にいると心も荒れる。誰しもが言葉を求めている。言葉は薬。薬は言葉。昔の文豪は名文を書いた。いま名文家はいない。なぜか?

美しくて綺麗な文章を書く作家はいますか?いないでしょう。それに思考が(これは言葉と関係するのだが)軟弱になっている。技巧に疾る小手先の思考は多いが、真摯な思考は微々たるもの。人類の知性は、いま玉葱の皮のように薄い。時間が単発的に使用されるようになって、頭が熟成する暇がない。