隠れるから魅力的なのですよ!

「おまえ、ちゃんと読んでいるのか?」

「はい」

「見当外れにも程がある」

「ほんとうに読んでいるのか、と訊いているのだ」

「はい。行間を読んでおりますんで…」

「何が書いてある?」

「虚でございます」

「嘘だ!そこには何も書かれておらんぞ」

「浮世は嘘にまみれております」

「分からんぞ!愛なしに何が浮世とぬかすか」

「とんでもございません」

「愛に溢れております」

「なんと!」

「はい。虚部と実部の虚の側には愛があります」

「くだらぬ。空想過剰に過ぎぬ」

「いいえ。大抵は見えるものしか眼に映らぬものです」

「見えるもので十分ではないか?」

「なりませぬ。見えないものが世界の大半を占めます」

「勝手にするがいい」

「では、二乗して見えるようにいたしましょう」

「はじめからそうしたらいいではないか?」

「隠れるから魅力的なのですよ」

超薄型なめらかフィットユニホーム液晶

人類共通のユニホームをつくりたい!

裸ではなくて。魚みたいなユニホームを考える。ぴったりとしていて着ている感覚がない。おなじ外見の人ばかり。それは自由に軽々と湾曲する液晶画面のつながり。区別はハードであるユニホームにあるのではなく白紙の上に書かれるユニホームと言う名のソフトにある。春夏秋冬を問わない。冷暖房は薄いユニホームの内側ですべて完結する。入浴も不要。排泄も自動。ボタンが全身を網羅する。ZOZOの延長線上の先端をイメージする。

反ー人生の一般道

人生の一般道を歩く性分ではない。それ故に悩みは深い。だが、幸いなことに世の中は大きく変わろうとする矢先である。基盤である大地は静かに、しかし急速に動いている!社会構造と人類の心性も徐々に変わってゆく。既存の権威が崩れ去り、その欠如を新しい権威が埋め合わせる。劇的な勢いで新陳代謝がおこなわれている。どういうことか?

いま笑っている人はいずれ泣くことになり、いま泣いている人がいずれ笑うことになる。

落ちたものは拾う

ピアノを練習する理由は簡単だ。ピアノの才能がゼロかそれ以上(マイナス)であることをよく了解しているからに過ぎない。落ちたものは拾う。沈んでいるものは這い上がろうと必死になる。くだらぬこだわりであることも重々承知している。しかし、論理では分からないことは数知れぬ。才能がないのを知っているにも拘らず、ピアノにこだわるのは非論理的であり、合理的な判断によるものではない。ここまで意識が明瞭であるからには、もとを辿れば無意識に到達するであろう。ピアノは何かの歯のようでもあるし、優美な曲線から女性を連想させる。指で叩いて楽曲を奏でる箱と表現するだけでは足りない何かがある。それに10本の指が踊らないことには意味がない。おたまじゃくしは楽譜を海とし自由に泳ぎ回っているかのようだ。2台のピアノをパズルのピースのように組み合わせるとちょうど一個の楽器になるのも不思議。

理解と疑問

理解力があるのはいいことのように思える。しかし、慣習と常識にどっぷり浸かっているからこそ理解が容易になるともいえる。単純に理解するということは反面、疑問をもたないからそれが可能なのだ。理解の容易さは、深淵な思考と対照的である。疑問を持たずにすらすらと理解して物事を適切に対処する能力はもちろん必要だ。ただ、疑問を保留にしている点に注意すべきである。現代に適応するだけではなく、新しい問題に解決を与えるためには一歩立ち止まりじっくり考えないといけない。現代に適切に対処しつつも、来るべき新しい未来に適応する準備も同時進行で進めないといけない。

無視する能力

容易に理解できることに大した意味はない。大切なのは、いまだ理解の及ばない未知なる意味を見いだすために労力を費やすことなのだ。容易な仕事を単調に繰り返しても仕方あるまい。また流行や話題にいちいち振り回されていては、一貫した方向が定まらないままに時間ばかりが減っていき顔に皺が刻まれるだけ。人生は言うまでもなく有限だ。削除することをあらかじめ決めておくのがいい。他人の噂やゴシップさらに一般的なニュースでさえどうでもいい。反応するだけ無駄だ。世の中は劇的に変わっており適応するのにやっとであるが、有用かそうでないかを自分の頭を信頼して切り捨てるものは大胆に切り捨てる。拾うものは拾う。そうしないと何も成し遂げられないままに人生の終末を迎えるのは必至。人の判断に依存することは判断ではない。皆がやっているからといって正しい保証はなく、安心感が得られるだけに過ぎない。限られた力を分散させるからできないのであって、ひとつに集中させれば成果はでるはず。他人のいいところばかりについつい注意がいってしまうが、いいところが情報として公にされるだけの話なんだから、頑固に無視する。もっとも自己の判断を信頼するのには勇気がいるし、不安もある。