なにも期待しないで欲しい

なにも期待しないで欲しい。なんでもないんだから。具体的に生きるなんてことは到底無理だ。空想の羽根だけが飛翔する。これでは役にたたぬ。わたしがわたしの穴を掘りその中に入り込んでいては自滅するのが関の山。夜の住人から昼の住人になろうと血の努力をしようと苦しむが、昼は無情にも入場さえ許さない。この堅固な大地で溺れているものはわたしだけなのか?立って歩くための大地ではないのか。足は土に沈む。そして呑み込まれる。思考は痩せほそり、肉体はまるでジャコメッティー。だが、これはいまだけで、強靭な身体を誇りに思っている。頭脳も肉体の強靭さを真似てくれればいいのに。頭から重石を支えているようで、重力に負けている。だから中身だけが重力を忘れて自由に跳躍しようとする。空想ほど軽いものはない!