言葉のしくじり

思わぬ言葉が何かの手違いで、ひょいと我が口から空中に洩れてしまった。一度発せられた言葉は取り返しがつかないという原則を破り、空中に漂う汚い言葉を、我が両手で捕まえ口の中に放り込んだ。「お前は世間に晒される性質の代物ではない」。言葉は「ぎゃあ」と悲鳴を挙げると、再び誕生したところの口の門から腹の中まで落ちていった。この汚い言葉は、空気に触れるに値せず、胃の中で消化されて排泄されるべきだったのだ。間違い重力に逆らって、でしゃばる言葉には注意を要する。あなたにも心当たりはないか?