落ちたものは拾う

ピアノを練習する理由は簡単だ。ピアノの才能がゼロかそれ以上(マイナス)であることをよく了解しているからに過ぎない。落ちたものは拾う。沈んでいるものは這い上がろうと必死になる。くだらぬこだわりであることも重々承知している。しかし、論理では分からないことは数知れぬ。才能がないのを知っているにも拘らず、ピアノにこだわるのは非論理的であり、合理的な判断によるものではない。ここまで意識が明瞭であるからには、もとを辿れば無意識に到達するであろう。ピアノは何かの歯のようでもあるし、優美な曲線から女性を連想させる。指で叩いて楽曲を奏でる箱と表現するだけでは足りない何かがある。それに10本の指が踊らないことには意味がない。おたまじゃくしは楽譜を海とし自由に泳ぎ回っているかのようだ。2台のピアノをパズルのピースのように組み合わせるとちょうど一個の楽器になるのも不思議。